鳥谷歩の新日記帳

私が関わった作品の宣伝、性腺外胚細胞腫瘍と末梢神経障害の闘病記、身辺雑記。

性腺外胚細胞腫瘍は精巣腫瘍の一種

この文章は私見であり、実際に治療を受けた私の感想です。医学的に間違ったことを書いてるかもしれませんので、その旨ご了承ください。この文章を参考にして治療方などを選択し、寛解できなくても、私は責任を負えません。あくまで単なる参考意見として、お読みください。
私が性腺外胚細胞腫瘍を罹患したとき、ググってもあまり情報を得られませんでしたが、この病気は精巣腫瘍の一種で、治療方法も精巣腫瘍とだいたい一緒です。この文章を書いてる時点では化学療法のfirst lineは、大多数の症例で、BEP療法が妥当といえるかもしれません。私の場合、first lineは家の近くのがん拠点病院で治療を受けました。理由は、その病院での健康診断で肺転移の癌が見つかったのがきっかけだったのですが、検査なども良心的に迅速に進めてくれて、化学療法に入るのも最短でスケジューリングしてくれたからです。当時夕方になると癌からくる疲労感と背中の痛みを強く感じてた私は、なるべく早く治療に入りたいと思ってたので、これから転院したらまた検査のやり直しとかになるかもしれないと危惧し、その病院で治療を受ける決意をしました。私の場合、たまたまその病院は優秀なドクターやスタッフの方がおられた為、first lineで陰性化まで導いてもらえました。幸運だったと思います。なので、first lineは、なるべく早くとりかかったほうがいいとの視点から、近くのがん拠点病院で治療を受けることも選択肢のひとつといえば、ひとつといえると思います。もちろん時間が許すなら、最初から、精巣腫瘍の治療実績の豊富な施設で治療を受けたほうがいいかもしれません。特に縦隔原発の方はfirst lineは特に重要だと思いますので、どのような決断でも勇気がいりますが、後悔することのない結果を得られることを祈っております。語弊のないよう念の為書きますが、縦隔原発以外の方も、もちろんfirst lineは重要です。
家の近くのがん拠点病院で治療を受けてたとしても、second lineは、時間的余裕があるのなら、セカンドオピニオンをとるなどして、精巣腫瘍の治療実績の豊富な施設に転院したほうがいいかもしれません。second lineは、この文章を書いてる時点では、大多数の症例で、TIP/TIN療法が妥当とされてるようです。しかしシスプラチンをBEPとTIPで8クールやると、末梢神経障害の後遺症がでる確率が高まると思います。second lineはネダプラチンを使うTIN療法を希望してもいいかもしれません。
なお、「精巣腫瘍患者友の会」という患者会があります。私もこの会にとても助けて頂きました。ご興味があれば、まずは公式サイト(http://j-tag.jp/)を見ることをお勧めします。性腺外胚細胞腫瘍の患者でも、精巣腫瘍患者友の会には入会できます。また、精巣腫瘍の治療法の情報を得るのに『精巣腫瘍診療ガイドライン 2009年度版』が役立ちました。性腺外胚細胞腫瘍の情報も少しだけ掲載されてます。ご関心があれば、アマゾンや楽天等で買えると思います。精巣以外(つまり性腺の外。例えばお腹とか縦隔とか)にできる胚細胞腫瘍なので、性腺外胚細胞腫瘍という名前です。でも癌そのものは、精巣腫瘍と同じく、胚細胞腫瘍なので、精巣腫瘍と治し方がほぼ同じです。だから、精巣腫瘍の治療実績の豊富な施設で治療を受けると、有利だと思います。精巣腫瘍の治療実績が豊富な施設は、精巣腫瘍患者友の会で、訊けると思います。全国から患者が集まってくる施設も有ります。私も含め、胚細胞腫瘍で闘っている全ての人が治癒し、生き残れることを祈っております。
追記
もし転院したとしても、必ずしもよい結果を得られるとは限りません。命に関わるやりなおしのきかない選択となる場合もありえます。今の先生が信頼できるのなら、転院しないという手も、もちろん有りだと思います。どのような決断でも、勇気が必要です。どちらのほうが確率が高いかは、運だとしかいえません。どちらを選んでいても、どうしようもなかった場合もありえます。ご自身の人生です。ここであかんかったら、どっちを選んでても、しょうがなかったんや、と納得するために、転院するのもありかもしれませんし。正解なんて、誰もわかりません。ただ、ご幸運をお祈り申しあげます。
気休めにしか思えなかったら申し訳ありませんが、私は小説などで、こういうことも書きたいことのひとつです。
生まれてきただけで両親は愛を覚える。存在するだけで、親のためになってる。両親は例外なく百パーセント全員心の中では、子が前向きに生きることを願ってる、素直にそれを表現しないひとも中にはいるけど。いっしょうけんめい生きる、ただそれだけで、親のためになってる。人の役にたってる。親が存命かどうかなんて関係ない。親の想いに応えてあげる、つまり、人のためになってるってことは、その人生には価値がある。いっしょうけんめい生きる、ただそれだけで、人生には意味があったといえる。
ご幸運をお祈り申しあげます。
(念のため書いときますが、私の創作でやりたいことは、これだけではありません!)



2015年3月13日追記
『精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版 (第2版)』が新しく出版されてます。読んでると怖くなってきて、精神衛生上あまりよくないかもしれませんが、正確な情報を得ることは病気と闘う上で有利になると思いますので、ご興味があればぜひ。少しですがもちろん、性腺外胚細胞腫瘍についても記事があります。


2015年7月24日追記
胚細胞腫瘍になってしまったみなさまへ
なってしもたんはしょうがないですが、(寛解できることを祈ってますが)寛解後に留意していただきたい点があります。
『精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版』からの抜粋です。
「性腺外胚細胞腫瘍では、治療終了後の異時性精巣腫瘍の発生に注意する必要がある。(略)異時性精巣腫瘍の10年間累計発症リスクは、10.3%であった。10年間累計発症リスクは、非セミノーマ、セミノーマ、後腹膜原発、および縦隔原発で、それぞれ、14.3%、1.4%、14.2%、および6.2%であり、非セミノーマ、および後腹膜原発で発症リスクが高かった」
「精巣腫瘍の家族性発生では、父親が精巣腫瘍であれば4倍のリスク、兄弟が精巣腫瘍であれば8倍のリスクがあり、兄弟では環境因子も共有するため様々な因子が加わると、10倍以上のリスクがあるとされている」
「(精巣腫瘍の)両側発生例の研究から、反対側の精巣腫瘍のリスクは25倍になるとの報告もある」
寛解後も重々再発を警戒されると思いますが、上記点も留意していただきたいです。
簡単にいえば、
・性腺外胚細胞腫瘍になったら、精巣腫瘍にも気をつけろ。
・親兄弟が精巣腫瘍になったら、自分も気をつけろ(罹患した方は兄弟に忠告してあげてほしいです)。
・片側が精巣腫瘍になったら、もう片側にも気をつけろ。
です。
気をつけろといわれても、気をつけようがないんですが、せめてNK細胞など免疫力を落とさないように、なるべく無理せず、なるべく夜に眠る規則正しい生活を心がけてほしいです。


2016年4月8日追記
京都府医大のM先生とN先生は、異動になられたようです。
http://www.saiseikai-shiga.jp/jusin/sinryo/uro/doctor.html
http://www.suita.saiseikai.or.jp/department/urology/


精巣腫瘍診療ガイドライン 2009年版

精巣腫瘍診療ガイドライン 2009年版

精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版

精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版